スケッチブックを買いに外に出た。
歩いて10分くらいの100円ショップを目指して歩く。店に入って店内を歩いてみるけれど適当なものが見つからない。1冊それらしきものがあるけれど、サイズが大きすぎる。破れてしまっていた風呂用のタオルを買って、外にでる。
外は寒い。このまま家に帰ってもよいのだけれど、スケッチブックを手元に置いておきたい。歩いて5分くらいのLOFTまで歩くことにする。店内は明るく、冬物の手袋やストールなどが割引で売られているフロアを横目に見ながら、3階の文具売り場にたどり着く。ぐるぐると店内を歩いていると、祝儀用の袋が目に入る。そういえば来月、学生時代の友人が結婚する。急なことだけれど二次会の幹事を頼まれて、昨日の晩打ち合わせをしたばかりだ。祝儀袋はいくつも種類があって、200円代から1000円近くするものまである。もう4年くらい前、仲の良い友人の結婚式に出ることになって、張り切って値段の高い祝儀袋を買ったことを思い出す。おそらくその時買った祝儀袋が上から2段目の位置にあるのを横目に見ながら、手頃なものを手にとって売り場を去る。スケッチブックと合わせて会計を済ませ、LOFTを出る。
交差点沿いにドラッグストアができていた。何度か前を通りかかってはいたけれど一度も入ったことがなく、入ってみる。店内は異様に明るく、「あかるい」とぼそっと口に出しながら店の中を歩く。妙に広い店内にはステンレスのマグボトルや包丁などが並べられていて、この妙な取り合わせはきっと、外国人観光客を意識したものだと思わされる。そろそろ替えようか、と思っていた髭剃り用のカミソリを見るけれどやはり高く、「まあまた今度でいいか」という気分になって売り場を離れる。もうカミソリに関しては何度もこういうことをやっている。
ドラッグストアを出て少し歩くと、牛丼チェーンが目に入る。もともとは家でカレーでも作って食べるはずだった。けれどなんだか気が乗らず、スケッチブックを買いたくなって家を出たのだった。極力自炊しよう、と思ってはいるけれど、こういう日は家に帰って料理してもまた気持ちが不安定になりそうだと思い、一度通り過ぎた牛丼屋に引き返して入る。接客をしているアジア系の店員に注文を伝えて、ほかの客よりも先に平らげて店を出る。
少し歩くと地下街につながるエスカレーターがあってそこを降りていく。輸入食品店を横目にみながらトイレに立ち寄る。途中、改札横のイベントスペースでアコースティックギターを鳴らして歌っている青年がいる。ストリートミュージシャン風なのだけれど、おそらくこれは地下鉄の企画で用意された舞台で、厳密にいうとストリートミュージシャンとは言えなさそうだ、と思う。老人と年配の女性が青年の向かいのベンチに座っていて、女性が大きな荷物を脇に置いて、ガラケーを片手に手拍子を打っている。
トイレを出て輸入食品屋に立ち寄ると、いつもの通り紙コップに入ったコーヒーを渡される。初めてこれを体験した時は「何か買わないといけないのでは」といったプレッシャーを感じたけれど、最近は慣れてしまってなんの負い目も感じなくなった。前に使って美味しかった鹿児島の香辛料「ひらめき」はないのだろうか、と思って物色するが見当たらず、前から買おうと思っていた柚子胡椒を見つける。チューブのものがまだ残っているな、と思いながら、けれどあの取ってつけたようなチューブの柚子胡椒があまり好きじゃない、と思って手にとってレジに並ぶ。店員に渡した五千円札が、レジに入る。おつりの千円札を店員が丁寧に数え、横にいる別の店員に確認し、手元に返ってくる。
地上に出ると空気が冷たく、手をコートのポケットに入れながら歩く。レジ袋は手首とポケットの入り口の間にひっかかって、膝に当たって音を立てている。少し細い路地に入ると高級な店が多くなり、客らしきスーツ姿の男性が手を上げてタクシーを停めている。それを横目に見ながら、家に帰る。
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