2015年4月9日木曜日

ドラマ『すいか』を観た。地味な大事件を必死に生きる日常。

放送は2003年。
ちょっと時代を感じるwebサイトでダウンロードした壁紙。

TVドラマ『すいか』を全話観た。

僕は全く作品のことを知らなかったけれど、
友人に勧められて観てみたらすごく良かった。
これについて何か書きたいと思いながら、
ブログは下書きのままになっていた。

* * *

今日、帰宅して居間に行くとテレビがついていて、
「過去の凶悪犯罪捜査の再現ミニドラマ」みたいなのがやっていた。
画面の中では、薄暗い取り調べ室で年配の刑事が若い女性を問いつめている。
僕は冷えた身体をストーブで温める間にこれをぼーっと眺めていて、
ああなるほど、と思った。

バラエティー番組内の再現ドラマと連ドラを比べるのもどうかと思うけど、
この再現ドラマは「ストーリーに持って行かれるつまらなさ」の極みだ。

ごく短時間で事件の概要を伝えて、かつお話として成立させないといけないので、
「犯人が事件を起こし、逮捕されるまでの流れ」を中心に描くことになる。
その軸を中心に全ての登場人物が現れるので、
出てくる刑事も、犯罪者も、どこか輪郭がぼやけている。

この手のストーリーはもう飽和している感じがあって、
僕はあんまり楽しめない。

* * *

『すいか』にも「事件」的な出来事は起こる。
馬場ちゃん(小泉今日子)は勤めている信用金庫から3億円を横領し、
絆さん(ともさかりえ)は通り魔に遭遇して怪我を負う。

でもこういうのは本当に重要な「事件」としては描かれておらず、
基子(小林聡美)が中学生時代から続けていた100円玉貯金を使い切ったり、
絆さんがメロンを食べている父親の背中を目撃したり、
舞台になっている下宿「ハピネス三茶」を教授(浅丘ルリ子)が出て行ったり、
そういう一見大したことのない出来事が、よっぽど重要な事件だったりする。

そして、なぜそうした出来事が重要な事件たりえるのかを、
全10回を通して丁寧に描いている感じがする。
『すいか』はそういう作品だと思う。

「日常をまったりと生きる」「ほのぼの」ドラマだというレビューを
たまたまwebで見つけたけれど、ぜんぜん納得いかない。
登場人物は、それぞれにとっての地味な大事件を必死に生きている。

そういう住人たちが「ハピネス三茶」という場に出入りする。
中心軸になるような大きいストーリーはない。
すると一人ひとりの輪郭がくっきりと見えてくる。

この過程がとってもおもしろい。
いい作品を教えてもらったなあ。




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