寝床を求めて、ロシアから飛んで来る渡り鳥(マガン)。 この後すごい数が頭上を通った。この日は8万羽来たらしい。 |
【前回の続き】
4月。仕事をやめた。
実際には引き継ぎが少し残っていたので、数日はパソコンに向かって作業していた。
この期間はまだ「仕事をやめた」という感じがしなかった。
残務処理が終わると、とうとう「すること」がなくなった。
最初のうちは「長期の休みを取った」ような感覚だったのが、
「明日も予定がない」ことでだんだん不安になってくる。
そんな日々をしばらく過ごしてから、北に飛んだ。
地方に住みながら働く友人が「よかったら働かないか」と声をかけてくれていたのだった。
「どうせ北に行くなら」と、当時好きだった朝ドラのロケ地を経由して行った。
移動中、フェリー乗り場近くの屋台飲み屋で偶然出会った年配のおっちゃんと話をした。
「なんで仕事辞めちゃったのぉ!」「そうかぁいろいろあるよなぁ。」
「仕事、見つかるといいなぁ。」
高卒で工場の仕事をしている男の子と、その彼女とも話をした。
「少しずつ仕事任されてきて嬉しいんですよ」と頼もしく話す彼。彼を見つめる彼女。
友人の仕事先には何日間か滞在した。
「移住してくる予定の人」ではなく1人の友人として紹介してくれた。
その土地の人と会い、話をし、ジンギスカンを、カレーを食べた。
丘にも登った。町を見渡した。渡り鳥と夕日も見た。
山菜を取ってほぼ自給自足しているおばあちゃんにも話をきいた。
山菜を取ってほぼ自給自足しているおばあちゃんにも話をきいた。
食べごろを少し過ぎたふきのとうが生えていて、それも食べた。
結局、そこでは働かなかった。帰ってからもずいぶん考えた。
こうして声をかけてもらっていることは嬉しいし、お役に立てるかもしれない。
でも、「行く」という感じに至らなかった。
可能性をひとつ捨ててしまったような気持ちだった。
(つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿